谷戦記

迅のごとく

【電脳堺】解体新書

今回は遊戯王11期初期テーマである【電脳堺】について解説していく。

電脳堺を握ったことがない人も、電脳堺を対戦相手に見かける人にもぜひ知ってもらいたい内容となっている。

season8を純電脳で駆け上がっていたころの連勝記録(P帯).
このあとのダイヤ帯では勇者電脳に切り替え, さらに躍進することとなった.

とは言ったものの......

2022年8月31日14:00からのメンテをもって、遊戯王マスターデュエル(以下MD)ではseason1から制限カードとして使用出来ていた真竜皇V.F.D.が禁止カードに指定され、OCGと同じく永きにわたる眠りに就いた。

この改定により、電脳堺はMD環境トップから転落し、環境下位程度までのパワーダウンをくらった。事実、OCG・MDともに全盛期の電脳堺を組むことはできない。

 

そこで電脳堺について哀悼の意も込めて、ここにその持ち得た全てを書き記しておこうと思った限りだ。

 

 

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はじめに

電脳堺には初期デッキコンセプト(この時点でかなり完成されている)である【純電脳】があり、追加カード群【勇者】により強化された【勇者電脳】という派生系の型も存在する。純電脳から勇者電脳が考案されたのはOCGでの時系列によるところが大きいのだが、MDではカードプールがOCGと異なっている期間が存在したため、OCGでは組めない【勇者電脳】が出来上がったりと複雑なのである。

(OCGではVFDが禁止カードになったあと、勇者が登場し勇者電脳が考案された。しかし、MDではseason7,8の間VFDと勇者がともに使用可能だったため、その間のみ勇者電脳は環境トップの極致に辿り着くこととなった。)

要はデッキの型としてプロトタイプに当たる純電脳、その派生である勇者電脳の2つがあると思ってもらって差し支えない。

デッキ構築やその実力として重厚なのは、season7,8で使用できた勇者電脳なのだが、勇者電脳を理解するには何と言っても純電脳の理解が必要不可欠だ。

そのため、今回の記事では純電脳について徹底的に掘り下げていく。

 

さて、前置きが長くなってしまったが、いよいよ電脳堺の基礎、【純電脳】について解説していく。

 

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純電脳デッキコンセプト

【純電脳】デッキ編成

[メインデッキ:40枚 EXデッキ:15枚]

(幽鬼うさぎはこのデッキの癒し枠......?)
メイン 枚数 EX 枚数
PSYフレーム・ドライバー 1 アルティマヤ・ツィオルキン 1
PSYフレームギア・γ 2 クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン 1
増殖するG 2 灼銀の機竜 1
灰流うらら 3 飢鰐竜アーケティス 1
幽鬼うさぎ 1 浮鵺城 1
原始生命態ニビル 1 電脳堺狐-仙々 1
電脳堺媛-瑞々 3 スターダスト・チャージ・ウォリアー 1
電脳堺豸-豸々 3 瑚之龍 1
電脳堺麟-麟々 3 電脳堺獣-鷲々 1
電脳堺悟-老々 2 天霆號アーゼウス 1
電脳堺姫-娘々 1 真竜皇V.F.D. 1
電脳堺都-九竜 3 迅雷の騎士ガイアドラグーン 1
電脳堺門-青龍 3 セイクリッド・トレミスM7 1
墓穴の指名者 2 電脳堺凰-凰々 1
抹殺の指名者 2 幻影騎士団ブレイクソード 1
緊急テレポート 2    
金満で謙虚な壺 2    
電脳堺門-朱雀 2    
電脳堺門-玄武 1    
無限泡影 1    

まず前提として、純電脳は先攻展開をするデッキなので、優先権を得た時は先攻を取ろう。実は後攻でもそれなりには強いデッキであることがのちに分かるが、まずは先攻で目指すべき盤面に集中してくれて大丈夫だ。

純電脳の目指すべき展開盤面は簡単に示すと、こうだ。

①モンスターゾーンに真竜皇VFD(+αモンスター)を構えること

(真竜皇VFDはランク9のエクシーズモンスターなので、電脳堺はフィールドに2体のレベル9モンスターを並べられるギミックがあるということだ。)

②魔法罠ゾーンに電脳堺門ー朱雀(以下朱雀)を構えること

③電脳堺豸ー豸々の効果によりエンドフェイズ(以下EP)に墓地の電脳堺媛ー瑞々を手札に加えること

(①,②,③のキーカード)

この3つをするとどうなるのか?というと、よほどの手札、または罠型のデッキでない限り相手は大した動きをできず、ほぼそのままターンが帰ってくる。当然返しのターンでワンキルを行う......

如何に尋常ではないデッキであるかが伝わっただろうか。

特に今あげた①と②は最低限なすべきことで、③も本当は①,②と同じくらいこなしたいことだが、初手によるところもあるので①,②に重点を置いた。

とは言え、このあとの 各カード紹介&採用理由 を通してさらにどのような盤面を作ると堅実なのかも分かるので安心してくれ。

 

また、純電脳の最重要な展開ルールとして肝に銘じてほしいことがある。それは、電脳堺は2枚初動であるということだ。そしてその2枚初動でも、初動となりえない2枚の組み合わせが存在する。そのため電脳堺は初動事故が起きると先攻1T目でフリーズを起こしてしまう。強いて電脳堺の弱みをあげるならここだろう。事故率を下げるため多くのデッキは壺系のカードを挿してその問題を克服するが、電脳堺には先の初動2枚という理由から、初動が1枚もない場合には壺を以てしても初動事故という問題を解決できない。

(初動2枚を引き込むことが最重要だが......)

事故が起きるのは体感10戦に2,3回程度だ。つまり仮に10戦全て先攻を取ったとしても、うち2,3戦は最初から負けが濃厚となってしまい、手札にある誘発頼みとなる。誘発があるときはまだマシで、本当にツイてない日は10戦中6回は平気で事故ったりする。逆に10戦中10戦完封試合をするときもある。この事象は純電脳を握る上で理解しておきたいことだ。

これだけ聞くと運頼みなデッキと勘違いしてしまう。しかしシングル対戦総数(100以上)で見ると、season8までのデッキプールにおいても、純電脳の勝率の6割越えは堅かった。加えて以下に記す展開パターンを理解しているのとしていないのでは、同じ電脳使いでも展開できる場合のリソースの使い方に大きく差が出てくることになり、それは実力に直結する。また、事故っても焦らず勝ち筋を見失わないよう戦えば、おのずと次のターンからでも勝機は回ってくる。これは体験談で本当のことだ。

つまり以下の2つを念頭に置いておいてほしい。

(1)余裕があるときでも適切なリソース運用をすること

(2)本当に事故っている手札なのか、そうでないのかをしっかりと理解すること。加えて次のターンに初動札を引ける確率がある場合、諦めず戦況を見定めること。

 

さて、注意書きも済んだところで、展開できる2枚初動の組み合わせを表にしたものを用意した。ちなみに3枚初動もあるが、それは展開可能な2枚初動に+1枚電脳カードが追加されたものになり、単に上振れの部類に入るため電脳使いはとにかくこの2枚初動を理解すれば問題ない。

(純電脳2枚初動展開表)

 

※0この表の展開は、本当にこの2枚の組み合わせさえあれば展開可能なものである。つまり展開途中にドローを挟んだりして、そのドロー次第で何とかならないかな?という運頼み要素は一切ない。それだけ完結している。展開途中にドローを挟むことはあるが、それは元のコスト確保用ハンドに関係ない補充である。

※1瑞豸、瑞麟展開はバリューが高い。ティスのドローで老を引けた場合クリスタルか仙まで展開を伸ばすことができるからだ。

※2豸豸、豸娘展開はちょっとクセがある展開だ。VFD成立を狙うより、この√はクリスタル+朱雀の方が良い時がある。

 

今はまだそれぞれのカード効果も説明していないし、電脳堺を知らない人にとってはいきなり難しく感じるかもしれない。

だけど大丈夫だ。今はなんとなくで表を見ていこう。

例えば緑色の"青龍"というカードは他のカードとの噛み合いがほとんど無いなあ、×ばかりじゃないか。よく見るともう1枚の緑色の"九竜"も青龍と同じく重複した場合×になっている。つまり魔法2種を引いてしまった場合は苦しいんだね。他にも×があるマスがちらほら見受けられるが、これは初動となりえない2枚の組み合わせだ。こればかりはどうしようもない。

逆に九竜と電脳モンスターカードの組み合わせは抜群だ。娘々を除けばどれも◎。さっき言っていた①~③のすべてをクリアできる。他にも、"瑞々"ともう1枚の組み合わせは、青龍の△を除けば全て〇以上となっている。

なるほど、どうやら電脳堺は九竜、瑞々の2枚に非常にパワーが備わっているとみて良さそうだ。

 

ここで先ほど言ったことを思い出してほしい。

(1)余裕があるときでも適切なリソース運用をすること

実は上の表で〇以上の展開では、デッキリソースに頼った贅沢な戦いが出来てしまう時がある。なまじVFD+朱雀の盤面が強力なせいで、相手がこの盤面を返せず自分が勝利した時に、"やっぱりVFDは最強!電脳堺は強いぜ!!!"と思いあがってしまうからだ。事実それほどまでに酔いしれたくなるほどのパワーがVFDにはあることも、拍車を掛けている。

その反例を上げよう。よくあるパターンとして、〇の展開(◎ではない!)では、羽箒+サンボルをもらった場合、次のターンのドローによっては敗北する。

手の平を返すようで申し訳ないが、

『③電脳堺豸ー豸々の効果によりエンドフェイズ(以下EP)に墓地の電脳堺媛ー瑞々を手札に加えること』

をクリアできずにターンを渡した電脳はこの2枚でいともあっけなくやられてしまう。それを防ぐために③をもクリアした◎展開を常に目指す姿勢が必要だ。

いや待ってくれと。羽箒+サンボルを後攻で引き込んでいるデッキなんてそうそうないのではないか、と思うかもしれない。しかしバック除去の観点から羽箒はもちろん、サンボルを積んでいるプレイヤーも存在する。もっというと【ヌメロン】や【壊獣カグヤ】、【サイバー】といった後攻特化型デッキは平気で"妨げられた壊獣の眠り"、"ライトニングストーム"、"ブラックホール"を連打して面除去を行ってくる。要は起こりうる現実の問題ということだ。

ちなみに◎の展開は仮に盤面がガラ空きになったとしても大船に乗った気持ちでいてくれていい。なぜならばVFDの効果で必ず次のターンが帰ってくるし、何より次の一手も、さっきの自分のターンに③で回収した瑞々がある。場が更地で瑞1枚なら何もできないと思うかもしれないが、基本的には青龍が墓地に落ちている。このため瑞+青で再び展開を行えるし、相手の盤面はVFDのおかげで貧弱な仕上がりで待っている。そもそも、こちらの前と後の妨害を消すために相手は必ず2枚はカードを切っているし、先攻展開中に1,2枚誘発をくらって乗り越えていた場合、3T目で相手は何も出来ない。もう有効札が無いからだ。

むしろそこら辺の数ある普通のデッキにおいて、もしも自陣が更地になるようなことが起きてしまった場合、それはつまりゲームセットで敗北だ。◎はそれほど盤石な展開なのだ。

もちろん、だからと言っていつも③までクリアできるわけではない。現に表の中で◎の数は少ない方だ。そのため、電脳堺に採用されているカード1枚1枚への理解が、展開の助けとなる。

 

さて、一旦ここで頭を整理しよう。なるほど、先行で電脳のやらなきゃいけないことも大体分かった。それにリソースの無駄遣いもよくない。事故を避けられない時も組み合わせの都合上あるにはあるが、しっかり手順を踏めば、あらかた勝利できるデッキなんだね。

 

このあとは各カード紹介&採用理由になる。ここで色々な疑問が解決されるし、逆にデッキとしてプロトタイプである純電脳の乗り越えるべき課題もうっすらと分かってくる。でも、それらが理解できるころには、あなたは電脳の入門は終えていることになるから大丈夫だ。

 

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メイン・EX各カード紹介&採用理由

真竜皇V.F.D.

ランク9/闇属性/幻竜族/攻3000/守3000 レベル9モンスター×2体以上

(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、属性を1つ宣言して発動できる。このターン、以下の効果を適用する。この効果は相手ターンでも発動できる。

●フィールドの表側表示モンスターは宣言した属性になり、宣言した属性の相手モンスターは攻撃できず、効果を発動できない。

(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分の手札の「真竜」モンスターの効果で破壊するモンスターを相手フィールドからも選ぶ事ができる。

である。何かこの神について語るのすらおこがましい。こいつだけは別格で、一応説明するが簡潔なものにまとめる。

電脳堺において成立を目指すべきモンスターで、使用するのは(1)の効果のみである。効果の内容はゲームエンド級であり、当然フリーチェーンの発動で、相手ターンに効果を発動しそのターンを虚無に帰すのが役目となる。のちのモンスターにも共通だが、1T目はライスト警戒で必ず守備表示で出すことは覚えておこう。

 

電脳堺媛-瑞々 (チューナー)

星3/風属性/サイキック族/攻1600/守 600

このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが手札に存在する場合、自分フィールドの「電脳堺」カード1枚を対象として発動できる。そのカードとは種類(モンスター・魔法・罠)が異なる「電脳堺」カード1枚をデッキから墓地へ送り、このカードを特殊召喚する。その後、対象のカード及び墓地へ送ったカードとは種類が異なる「電脳堺媛-瑞々」以外の「電脳堺」カード1枚をデッキから手札に加える事ができる。このターン、自分はレベルまたはランクが3以上のモンスターしか特殊召喚できない。

電脳堺のメインエンジンで、やること③で最後に回収するモンスターになる。

墓地肥やしとサーチを同時にこなすキーマンで、特によく使うは組み合わせは

(i)モンスターを対象に玄武(または朱雀)を落として九竜を持ってくる

(ii)(九竜で置いた)朱雀を対象に青龍を落として欲しいモンスターを持ってくる

のどちらかになる。ステータスも優秀で☆3ながら打点が1600もある。緊急テレポートにも対応していて、メイン電脳堺モンスターの中でもっともバリューあるカードだ。

 

電脳堺麟-麟々 (非チューナー)

電脳堺☆6モンス2体のうち1体。電脳において基本的には1ターン内にメイン4種の電脳モンス効果すべてを使い切って展開するが、状況によっては3種類までしか使えないときがある。そんなとき2枚落とせるこいつは有能で苦しい盤面を突破できる可能性を拓いてくれる。

少し気を付けなければならないのが、2枚落とせるからと言って常に2枚落としてはいけないということだ。電脳は罠3枚のうち朱雀1枚は場に必ず貼らなければならないので、後々罠がデッキ内に残ってないという状況だけは絶対に避けよう。

 

<補足>

"電脳4種を基本的に1ターン内で全て使い切る"というベーシスな話が出たので少しだけ補足したい。先の2枚初動の展開表で試すと良いが、◎の展開なら老を含む初動を除き4種類すべてをしっかりと使い切る。そのためもしも自分がそうでない展開をしているならばそれは展開√が間違っている。スタチャ、ティスなどを挟み、そのドローで他の電脳を引いて展開していないか見直してみよう。

 

電脳堺悟ー老々 (チューナー)

電脳堺☆6モンス2体のうち2体目。電脳を釣り上げ自身含め2体の素材を場に供給できるため、展開力にかなり貢献する。

しかし、先の2枚初動の表で確認すると分かってもらえると思うが、こいつと+αの組み合わせは他3枚の電脳モンスター初動と比べて一番弱い(〇以上の数)。その理由から電脳メイン4種の中で最弱である。こいつが強くなるのは展開途中のスタチャ、コーラル、ティスなどのドローで引いた場合でそのときは展開がグンと伸びる。こいつは電脳で墓地に送るカードとして指定し、灼銀やトレミスで拾って使おう。すでにサーチすべき札が手札にそろっていれば青龍からサーチしてきてもいい。

 

電脳堺豸-豸々 (非チューナー)

電脳堺の問題児。やること③成立のために必須で、メイン4種の中でこいつはわざと最後に語るくらい扱いを優遇している。瑞々を真打とするなら、こいつは影打といえる。貴重な非チューナーであり、通常召喚できる☆3として他3種との組み合わせも抜群である。何と言ってもEP時に次ターンの展開リソースとして、エンジンの瑞を拾い直せるのが色々とやっている。瑞、麟、老が止められてもこいつだけは必ず通そう。いやもちろん瑞を貫通させるのは前提だが、次ターンのドローに運頼みしない状況を作り出せるのは、遊戯王というゲームにおいて強力だ。閃刀姫のシズクなんかが似たような効果を持っている。

(メタルフォーゼにもそんな奴がいたが......)

 

電脳堺門-青龍-

通称青(あお)。ハンド1枚を切り電脳モンスターをデッキから手札に加える。青には表向きの効果も存在し、場にあるときに墓地から電脳カードを除外することでターン終了時まで場のモンスター1体の効果を無効にする。後手で九竜から持ってくることもある。

 

電脳堺門-九竜-

通称九(きゅう)。電脳堺カードの中で最も強いカードである。表側表示で置くというテキストは貼る先のカードの発動を介さないために、相手は九を止めなければならない。

 

電脳堺門-朱雀-

通称朱雀(すざく)。九で貼るカード筆頭。リソース回復と毎ターン1度のフリチェ破壊を兼ねる。このカードの働きで電脳堺は展開系でありながらリソースが切れない。朱雀を貼ることでVFDを禁じられた一滴から逃がすために割ることができ、VFD禁止となる要因をつくってしまったほどのカードである。朱雀はエルドの永続を割る役目もある。

 

電脳堺門-玄武-

通称玄武(げんぶ)。ハンドコスト1枚を引き換えに、電脳1体を効果を無効にしSSする。効果そのものと、電脳モンス共通の色落としの都合で良く落ちる。最後の一押しに使うことが多い。地味に場に他の堺門があるときに1回分の攻撃無効効果がある。事故った手札が九と玄武なら命を預けることはできる、かなりツイてないが......

重要なことは、九(仙がいるとき、青efで除外したとき)、青、玄武全ては朱雀の弾になるということである。

 

 

電脳堺姫-娘々 & 金満で謙虚な壺

娘々はメイン電脳4種と違い、手札からの効果は無い。代わりに☆3のNS・SSをトリガーに、チューナーとして自己蘇生できる。シンクロ後等は裏側の除外も回収できるため、金謙で飛んだEXを回収しよう。

また、ここで金謙に触れたのは娘のこともあるが、初手に金謙が来た場合誰を飛ばすかを迷う人もいると思ったからだ。以下に飛ばす6枚を記載した。

{スターダスト・チャージ・ウォリアー,瑚之龍, アーケティス, 迅雷の騎士ガイアドラグーン, 電脳堺凰-凰々, 幻影騎士団ブレイクソード}

手札との相談によってはツィオルキンを出している余裕がない可能性がある。その時はツィオルキン&クリウィンとブレソ&スタチャ等を交換して飛ばすこともある。

 

緊急テレポート

他のデッキと採用される意味合いが大きく異なるカードの1つ。手札の電脳が1枚でも、これで瑞々か娘々を呼べば展開できる。Gを乗り越えたり、γを呼んでスタチャと合わせてクリスタルを呼び出したりする(正規召喚)のに使う。巷で有名なテクだと、玄武の効果にチェーンして緊テレを使うなどもある(玄武のコストを偽装)。電脳の効果を使った後には、制約からγが呼べなくなることは覚えておこう。

 

PSYフレームギア・γ & PSYフレームギア・ドライバー

言わずと知れた3枚セット。このデッキにおいてGは致命傷なので、それを避けるべく投入している。電脳堺は誘発枠が少ないので、γくらいの防御力が必要なことがある。なおドライバーは☆6なことから電脳堺で応用が利くことはメリットになる。

 

アルティマヤ・ツィオルキン & クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン

セット枠その2。Gの次に苦手なニビルを撃墜するために投入している。ツィオルキンの効果は九竜を伏せてから使用することが多い。九は通常魔法なので当然伏せた後は発動する。

 

セイクリッド・トレミス・M7

純電脳におけるサブエースといっても過言ではない。効果は非常にシンプルだが、その分応用が利くタイプのカード。落としておいた老々を拾うことが多いが、EXモンスターを拾い直して再装填や、お互いジリ貧な時にうららやGなどの誘発を拾い直して相手に圧を掛けにいく、相手の壁を退かして速攻で仕留めるなど択が多く、いぶし銀な活躍をする。当然アーゼウスのパイロットにもなり得るため出番は多い。

 

灼銀の機竜

先手では老々・瑞々を拾い直し、後手では泡影を捲りにいくという、これまた優れたカード。トレミスとの違いは場に残るか残らないかだが、灼銀は後で浮鵺に釣ってもらうことでVFDが成立する。また、トレミスはエクシーズのため、素材に電脳を抱えた場合展開の後ろの方で起こりうる欠損を避けた展開を目指すが、こいつにその懸念はない。トレミスは万能に近いが、灼銀を知っていなければ勝ちを拾えない時が存在するので、この2枚の違い・習熟度は深める必要がある。

 

瑚之龍 (チューナー)

後手捲り札のうちの1つ。捲るときの使い方は灼銀に近く、泡影や墓穴を受けに行くのが仕事だ。☆6でチューナーのため、純電脳においてこれ以上のシンクロは豸々と娘々以外できないためすることはあまりない。しかし、仕事をしたあとにツィオルキン要因として墓地へ送り、さらに1ドローできるため重宝する。気を付けたいことだが、瑚之龍はテキストの都合上X素材にしてしまうと、1ドロー効果が付かないことは覚えておこう。

(勇者電脳でこいつは超必須枠になるのだが、それはまた次の機会に......)

(→水遣い@1で死亡した。)

 

浮鵺城 

浮鵺城を出すときはほぼ決まっていて、老で豸を釣り、連鎖して娘をSSするときだ。

老(☆6)+豸(☆3)=仙(☆9)

墓地朱雀efで仙(☆9)→(☆6)に変更

仙(☆6)+娘(☆3)=浮鵺(☆9),ef仙釣り上げ

仙と浮鵺でVFD

といった流れだ。素直に灼銀を拾ってVFDにすることもある。

 

 電脳堺狐-仙々

電脳において、1つの指標となるモンスター。VFDの素材に仙を混ぜていた場合、次ターンのゲームの優位性は大きくこちらに傾く。余力があった場合に、単純にVFDの隣に添え置くことでも相手に圧を掛けられる。クリウィンとの噛み合いでワンキルにも加担する(仙先殴り、クリウィン攻撃時仙efをクリウィンefで無効、打点が2800+3000(+2800)でリーサル)。自己蘇生のコストとしての除外が強力で、VFDやアーゼウスを除外し娘で回収することができ、彼ら神たちをおかわりする。実戦でよく使うので覚えておこう。

 

飢鰐竜アーケティス

VFDの素材となるSモンスターその3。こいつは単純に1ドローの役割のみかな......

ドロー以外にも効果はありますが使いません。こいつはただの魚です。

わたしは"ティス"と呼び捨てにしている。

 

スターダスト・チャージ・ウォリアー

レベル6として様々に役割をこなすカード。1ドローしつつトレミスや9シンクロなどに繋がる。ほぼ使わないが全体に1度ずつ攻撃できる効果をもつ。"~時"の効果のため必ずチェーン1で発動するように。

 

幻影騎士団ブレイクソード

後手捲り札の1つ。自滅もできるが、なるべく青龍や余った魔法(壺など)を伏せて割るのがベスト。瑚之龍もそうだが、表側でなくてもよいのが非常に便利。先に伏せを除去しておくことで、安全にアーゼウスの効果を起動させるパイロットとしての役割が大きい。素材に自己蘇した娘を混ぜX素材とすることで墓地にキープできることは覚えておきたい。

 

天霆號アーゼウス

ガンダムだと!?

ガンダムです。このカードもVFD同様語ることはほぼ無い。後手における神とでもいっておこう(受け売り)。

理解すべきことは、Xモンスターが戦闘を行ったターンであれば良いため、相手のXモンスターに特攻させた後にブレソやガイドラを立てれば良いことも選択肢として必ず覚えておこう。

 

迅雷の騎士ガイアドラグーン

アーゼウスの座布団。守備貫通持ちであること、あえてトレミスの効果を使わずこいつを重ね4素材アーゼウスを作れることの2点を覚えておけばおk。

 

電脳堺凰-凰々

ガイドラアーゼにする前につくる子。余裕があれば効果を使ってからでも問題ない。事実このころにはデスフェニが跋扈していたため、デスフェニを灼くことができるこいつの出番は存在した。今も相手によっては特定のカードを刈る用途で出番がある。注意したいのは相手(自分も可)の場と墓地にそれぞれカードが1枚以上なければならず、場のカードは表向きでなければならないことである。そのため灼銀、瑚之龍と同じように伏せを割りに行く用途でこいつを使うことはできない。あくまでリソース刈りである。

 

電脳堺獣-鷲々

最後のEX紹介となるこの子は、電脳堺の苦手なGの停まりどころとして紹介する。瑞と娘でシンクロすれば戦闘・効果破壊耐性を持つため、2ドローで停まることができる。墓地送りの除去効果を持つため、相剣の承影を除去できるカードして覚えておきたい。また、電脳堺モンスターであるため、展開の経由地点としてこいつを立てつつ盤面を伸ばすこともできる(主に苦しいハンドの時重宝する)。

属性・種族が同じであれば良いため、トレミスとアーゼウスも墓地に落ちていれば使えることは覚えておこう。

 

不採用となったカード

・強欲で貪欲な壺

10枚の中に2枚以上キーパーツが入った場合に娘で回収しきれないということ、そもそも1枚も電脳が手札に来ていないときに強貪の2ドローしたとしても修正できるかは運頼みになることから不採用。強貪型はかなり初期に消滅したイメージがありますがそこは私見なので深くは語りません。とはいえ、強貪2以上採用のために娘を2枚にすること自体デッキスロットを圧迫していると思います。

 

・ダウナードマジシャン

この子は常に採用を考えているので、正確には不採用というカードではないです。ブレソからの4素材アーゼのために存在しているので後手確定時のサイド札のようにも思えますが、そもそもMDはシングルなので扱いにくい時もあります。環境的にアーゼウスが弱い時ダウナードは抜けます。

 

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留意点

電脳モンスターがもつ共通効果をここで確認しておこう。以下その部分の抜粋だ。

このカードが手札に存在する場合、自分フィールドの「電脳堺」カード1枚を対象として発動できる。そのカードとは種類(モンスター・魔法・罠)が異なる「電脳堺」カード1枚をデッキから墓地へ送り、このカードを特殊召喚する。

場の電脳を対象に効果を発動するため、相手に対象のカードが除去された場合には対象が消滅したことで色判定ができなくなり効果処理が止まってしまう(不発となる)。しかし、裏側にされたり、コントロールを奪取されたりした場合には効果処理が行われるので恐れずいこう。

www.db.yugioh-card.com

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あとがき

上記のように、電脳については語ることのできるボリュームが膨大で、その1つ1つ全てに洗練された理論が存在し、それを裏付ける実力も存在する。

そのため練習をこなすほど解答を用意できるし、考え方も増えるという、スルメなデッキなわけだ。仙々、朱雀の存在によりエルドや閃刀姫にも強く出ることができる。当然モンスターによる展開系のデッキを相手取った場合は、VFDで封殺できる。これほどまでに数多くのデッキ相手に互角以上、有利を取れるデッキはそう多くない。展開系デッキでありながら朱雀と娘・仙によりリソース回復ができるところも、他の展開系とのスタミナを比較した場合に言うまでもない。

 

と...もっと話したいことはあるのだが、実はここまでで12000字に到達してしまっていて、実践編(実戦編)を見せてあげられていないのが心苦しい......。だからその補強として、後日動画をつくって公開しておきます。

 

最後に。

......電脳堺はとても良いデッキだと思います。

次は勇者電脳の解説でお会いすることになるでしょう。

 

 

※勇者追加のパック"ワンダリング・トラベラーズ"がMDでリリースされたのは2022/07/11の16:00(season7序盤)からのことだった。